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〈制約〉

〈制約〉は《課題》とセットで使われ、キャラクタたちがその《課題》を解決するに当たって禁止されていること、使えない物を指します。

物理的な制約(地形的に入り込めない〈移動〉の制限)、社会的な制約(武器の携行が禁止されている〈装備〉の制約)、依頼主の指定(正体がバレないようにという〈お忍び〉の制約)など、理由は問いません。

《課題》はプレイヤたちが頑張って乗り越える、解決する対象ですが、〈制約〉はプレイヤたちが乗り越えるべきものではなく、受け入れるべきものです。例えば、「12時間以内」という〈時間〉の制約がかかっている場合は、依頼人にごねて「24時間以内にしてくれ」という努力をすべきものではなく、「さあ、どうやったら12時間でこなせるだろう」と受け入れて頭を使うべきものです。

キャラクタたちが〈制約〉を破った場合の影響は様々です。「正午迄に約束のものを持ってこい」というような〈時間〉の制約を破った場合は、そのシーンの失敗になるかもしれません。〈隠密〉や〈お忍び〉の制約を破ると、敵対者に追われることになったりします。〈情報〉の制約はそもそも破れなかったりします。〈制約〉を破った場合にどうなるかは、シナリオ制作者が決めます。多くの場合は、なぜ制約が設けられているのか、その理由と密接な関係があるでしょう。

ゲームマスタとしてやってみたいシーンがあるんだけど、平凡な行動なので《課題》にならない、という場合は〈制約〉を加えてみてください。〈制約〉を加えることで、なんでもない作業をとてつもないチャレンジに変えることができます。30分以内に渋谷駅の改札に来い、誰にも見られずに城を出ろ、亡者の群れを前にナイフ一本しかない、などなど。1時間あれば寄り道しても到着できるし、見られてもよければ目をつむっていても出られるし、愛用の聖剣があれば1分であの世に送り返せるよう、そういった作業が、〈制約〉によって困難な課題へと姿を変えます。

制約:時間

〈時間〉の制約は厳しいもので、簡単にクリアできる【シーン】を、一転、困難にしてしまうくらいの制限をかけることでゲームを作り出します。例えば、「3日間のキャンプに必要な物資を揃える」という課題は難しくありませんが、「1時間以内に」というと、簡単ではなくなります。ひとつのお店で揃わないかもしれませんし、たまたま品切れだったものが出てきた時の対処も考えておかなければなりません。予算が決まっていれば、なんでも買えばいいというわけでもありません。パーティで分担して段取りを決めてかからなければならないでしょう。

〈時間〉の制限を課す場合、制限時間を示すのではなく、制限時間内に何回行動できるか、をはっきりと示すことが重要です。例えば、「制限時間は6時間です」と示すのではなく、「制限時間は6時間で、1回の行動あたり2時間かかります」(つまり3回の行動が許されている)とプレイヤたちに伝えます。

制約:〈隠密〉

〈隠密〉の制約のもとでは、一定の期間、キャラクタたちは活動していることを知られてはなりません。活動していることが知られた場合、キャラクタたちのもとに守備隊が押し寄せてきたり、人質に危害が加えられたり、依頼者の政治的立場が悪化したりすることになります。

〈お忍び〉の制約に似ていますが、〈お忍び〉の制約は正体が掴まれなければ活動自体は構わないのに対して、〈隠密〉では活動自体知られてはならないため、より厳しい制約となっています。

制約:〈お忍び〉

〈お忍び〉の制約のもとでは、キャラクタたちは正体がバレないように活動しなければなりません。例えば顔を見られて覚えられてはいけませんし、身元情報につながるような、クレジットカードで購入する、特定の人間しか使えない特殊な能力を使う、指紋を残す、といった行為にも注意する必要があります。

この〈制約〉を選んだら、シナリオ制作者は「何が」バレてはいけないかを決めます。最も厳しい制約はキャラクタたちの素性がばれないような制約ですが、護衛対象のお姫様の正体さえばれなければよい、国宝とも言われる魔剣を所持していることがばれなければよい、といった制約のかけ方もあります。

制約:〈装備〉

キャラクタたちの使える装備が制限されています。

制約:〈情報〉

〈情報〉の制約では、課題の解決のために重要となる情報が欠落しています。そのため、プレイヤたちは簡単に最適解を導き出すことができなくなります。

例えば、キャラクタたちが敵の砦を《制圧》する課題を考えてみましょう。そのために有益な情報としては、

  • 砦の地図
  • 指揮官
  • 守備兵の種類
  • 守備兵の装備
  • 守備兵の数
  • 守備兵の配置
  • 備蓄
  • 援軍の有無

などがあります。これらすべてがわかった状態であれば、どこからどう攻めるのが有効か、割り出すのも難しくないかもしれません。しかし例えば、このうち「守備兵の配置」の情報が分かっていないとすると、どこが手薄なのかわからず、地図などから推測するしかありません。また「指揮官」の情報が欠けていれば、最初に指揮官を叩いて短期決戦に持ち込む戦術が難しくなるでしょう。

他の〈制約〉に比べると、〈情報〉の制約はやや高度で注意しなければなりません。

まず、「この情報が無いとシーンをクリア出来ない」という情報に〈制約〉をかけてはいけません。例えば、「砦の位置」に制約をかけるとキャラクタたちは砦にたどり着けなくなってしまいます。

また、〈情報〉の制約をかけてゲーム的に面白くなるかどうかを見極めるのは簡単ではありません。隠蔽した情報の価値が低ければキャラクタたちには無視されてしまいますし、価値の高すぎる情報を隠蔽すると、キャラクタたちは運を天に任せて作戦もなく課題にとりかかるようになってしまいます。上の砦の例では、砦の備蓄情報を分からないことにしても気にもとめずに突入する可能性は高いですし、砦の地図が分からないことにすると「まあとにかく入ってみないことには仕方ないよね」という結論になりがちです。

制約:〈移動〉

〈移動〉の制約は、何らかの理由で移動手段あるいは侵入が制限されているかリスクを伴う状態です。

シナリオの都合でパーティに特定のコースを取らせたい場合には、侵入を制限します。

一方、パーティがどの移動手段をとるかでゲームにしたい場合は、移動にリスクが伴う状態にします。

嵐のため渡し船が出ない。

北回りの街道には最近危険な魔物が出没している。旅人のみならず、騎士たちまで襲われている。

街道の途中に検問所が設けられ、行き来する旅人を厳しく調べている。

制約:〈足手まとい〉

〈足手まとい〉の制約では、キャラクタたちが庇護しなければならない人物が同行します。

この〈制約〉は複合的な影響を【シーン】にもたらします。キャラクタたちが危険な行動を取ることを抑制したり(=足手まといを危険にさらす事になるので)、危険を冒すことが避けられないのであれば足手まといを庇護するために何らかの対策が必要になるかもしれません。

足手まといの足が遅かったりすぐ疲れて休憩が必要だったりすると移動に制限がつきますし、要人で人目に付くとまずいのであれば〈お忍び〉の制約と同じことになります。

制約:〈敵対者〉

シナリオとは直接関係ない人物・勢力がキャラクタたちに敵対します。キャラクタたちは、この「敵」の目に付かないように行動したり、敵の攻撃をかわしながら《課題》を解決しなければなりません。

「敵」の能力や権力によって、直接肉体的な攻撃を仕掛けてくることもありますし、物を売らない、街に入れない、情報を与えないといった形で妨害してくることもあります。キャラクタたちが何らかの法を犯した(と誤解された)場合は、警察権力が〈敵〉となります。