2つのダンジョンを作って、ちょっとは要領が分かってきたでしょうか。
ところでみなさんの中には、これまでの解説に罠だとか謎の石像といった、いかにもダンジョンに出てきそうな仕掛けが登場しないことに首をかしげている方もいるかも知れません。
それには理由があって、そうした仕掛けはダンジョンを彩りシナリオに変化をつけるのに大変役に立ちますが、ゲームとして絶対必要なもの、というわけでもないのです。
最初のダンジョンシナリオで解説した、地図・モンスター・宝物と、それから派生する手がかり・敵の動きだけでも相当変化にとんだダンジョンシナリオを作ることができますし、2つ目のダンジョンシナリオで紹介した戦術と目的まで加えれば、本当にいくらでも作ることができます。
シナリオの要素を極限まで絞り込んでそれだけを使って作ることで、ダンジョンシナリオの核心部分がどこにあるかを掴んで欲しかったのと、考える要素を増やすとそれだけシナリオ作成の負担になりますので、あえてここまで触れずに来ました。
しかし、3つ目のダンジョンではそうしたギミックを盛り込んだダンジョンを作ることに挑戦します。第二部の内容と違って、選ぶだけでとりあえず機能しますので、シナリオに組み込むのはずっと楽だと思います。
ダンジョンシナリオはそこに登場するギミックを考えるのが一番楽しい、という方も結構います。想像力を働かせながらぜひ楽しんで作ってみてください。
本書のはじめに、「ダンジョン」が指し示すものとして地下牢にとどまらず洞窟、館、砦など、危険な「敵」のいる閉鎖的な空間全般を対象としました。ここまでは、単に「地下迷宮」として自由気ままにダンジョンを設計してきましたが、そろそろ別の建造物も舞台として選んでみましょう。
ところで、舞台を貴族の館、打ち捨てられた古代の塔、底知れぬ自然の洞窟などに変えることにはどんな意味があるのでしょうか?
ある程度のリアリティを出すには、登場するモンスターがなぜそこにいるのか、というのも考える必要が出てきます。
雰囲気ががらりと変わります。ゲーム的にはなんの関係もありませんが、雰囲気というのも、TRPG のとても大切な部分です。
プレイヤたちがシナリオの展開を予測する手がかりとなる、という点も、舞台のもつ重要な役割です。
砦や館のような建造物であれば、外から見ておおよその大きさは分かりますので、中にどれくらいの部屋があるか想像がつきます。
多くの建物は入り口や窓がいくつかあるはずで、プレイヤたちは事前に外から偵察しようと考えるかも知れません。
また、(人間が建て生活する場であれば)巨大な怪物は住んでいないだろうと予測できます。
このように、舞台が変わると、プレイヤたちは常識と想像力、そしてキャラクタの専門知識を働かせてダンジョン攻略の手がかりを掴むことができます。
例えば、長い間封印されていた地下迷宮であれば、中に棲んでいるモンスターはどうやって糧を得ていたのでしょうか?凶暴で知性の低いモンスターたちが一緒にいる場合、なぜお互いに争ったりせずに共存できるのでしょうか?
ダンジョンの奥に巣食っている巨大なドラゴンは、どうやって途中の狭い通路を通り抜けるのでしょうか?
神殿や館は、宗教や時代によってある程度共通した作りになっていることがあります。そこまで考えて背景設定を作るのは大変かもしれませんが、建築物や歴史、宗教に造詣のあるキャラクタであれば内部構造を完全ではないにせよ予測できることにすると、キャラクタの見せ場の一つとすることができるでしょう。
地下迷宮は、間取り・広さ・形状などにほとんど制限がないため、シナリオ作者の自由に作ることができます。なぜそのようなものが作られたのか説明が難しい面もありますが、背景設定によっては古代王国の遺跡として一般的だったと説明されているものもあります。
城・砦・塔はいずれも地上に作られる防御施設です。通常は見張りの兵士が立ち、近づくことさえ困難なことがあります。
また、内部も矢狭間や落とし戸、一度にたくさんの兵士が通れないよう狭くなった通路など、防御側に有利な地形や装置が設置されています。
広さや間取りは、外から見た形状や窓の位置などからある程度は推測がつくでしょう。時には、地下にも倉庫や牢屋などが作られていることがあります。
城や砦と似ていますが、防御側の設備はそれほどないのが普通です。
本邸とは別に、すぐ近くに厩舎や使用人のための建物、井戸、倉庫などが建てられていることが多く、それら全てをあわせてダンジョンシナリオを作ることも出来ます。
時には砦並みの防御設備があり、魔法的な仕掛けやモンスターが守っているかも知れません。
ちょっと変わり種ですが、船を一種のダンジョンと見立てて舞台とすることも出来ます。広さは外から見てほぼ推測がつくでしょうし、間取りもそれほど奇抜にはできません。
またほかのダンジョンと大きく違うのは、負傷したり魔力を使い切ったりした場合でも「一旦退却して休息」が難しい点です。
また、広域を破壊するような魔法や火気は、船を沈没させてしまうため使えなくなるかも知れません。 
洞窟は自然がつくりだした地形で、時には人の手で天井が補強されたり橋がかけられたりすることもあります。鉱山は人によって山を掘って作られたものですが、岩盤の硬さや鉱脈の分布によって道は蛇行しあちこち伸びたり分岐したりしている点では似ています。
地下迷宮と同じく、間取りや広さにはあまり制限がありません。
あまり意識することは無いかも知れませんが、壁や床、天井の材質も考えておきましょう。
こうした材質は、舞台の種類によってある程度決まります。洞窟や坑道であればむき出しの岩盤になっているでしょうし、砦の外壁は頑丈な石造り、館であれば木造や煉瓦造りが一般的でしょう。
一つの舞台の中でも様々な材質が使われているのが一般的です。石造りの砦であっても、床や仕切りの壁は木製だったり、坑道も通路は歩きやすいように木道が敷かれていたり一輪車が通れるように平らに均されているかもしれません。
時にキャラクタたちは、壁や床を破壊しようと言い出すことがあります。そんなとき、壁が木でできているのか石でできているのか、またその厚さはどれほどかが重要になってきます。
また、忍び歩きをしようという時に、どれほど足音が響くのか、あるいはどれほど部屋の外の音が中まで届くのかにも関わってきます。
壁や床に施されている加工は、時に重要な手がかりになります。
ずっと自然の洞窟が続いていた所で、突然、舗装された横道が現れれば、その先に今までと違う何かがありそうだと考えるでしょう。
長い間忘れられていたダンジョンが舞台だったりすると、木製の床は腐ってたくさんのキャラクタが一度に乗ると底が抜けるかも知れません。かつては頑丈に封印されていた鉄の扉は錆びて蹴飛ばして開けることができるかも知れません。手がかりとなる石碑に刻まれた文字は磨耗して肝心な部分が読み取れないかも知れません。
扉、鍵、テーブル、松明、酒樽……ダンジョン内には、様々な物があります。これらは、何かの手がかりだったり、持ち帰る財貨だったり、あるいは罠だったりしますが、シナリオ制作者は多種多様な
「物」を出すことでシナリオにお手軽にアクセントを付けることができます。
移動を妨げる、射撃に対する遮蔽となる、身を隠すための物陰となるといった障害物として機能する物です。
柱、石像、机、棚などがこれにあたります。
ダンジョンに関する手がかりとなる物です。
ダンジョンに関する書類や地図といった直接的なものの他、食べかす、血痕、死体といったモンスターの性質に関する手がかりになるもの、灯りや書棚といったモンスターの知性を暗示するもの、紋章入の品、手紙のような持ち主の素性・正体を示すものなどがあります。
価値のある物品です。
多くのキャラクタにとって、金品はダンジョンに赴く目的となっています(唯一の、ではないにせよ)。簡単には見つからないところに隠すことで、パーティ(プレイヤ)の捜索能力を試したり、時間をかけさせたりする役割を持たせることができます。
ときにキャラクタの行動に制限をかける効果もあります。壊れやすい高価な装飾品などを配置しておくと、戦闘の際に爆発の魔法のような広域魔法は使いづらくなるでしょう。
金貨、宝石、装飾品、武具、魔法の品、薬、書籍などがあります。 
もともと罠として設置されたものと、意図せず罠として作用してしまうものがあります。
何やら怪しげで意味がありそうで、実は何も無い、という物です。プレイヤの注意を引きつけ、本当に意味のある物から注意をそらす、調査によって時間やリソース(調査のための魔法など)を浪費させるといった役割を持たせることができます。
石像、書類の束、魔方陣、絵の描かれたタペストリなどがあります。
###隠されている
物品は、棚の奥、二重底の箱の中、隠し扉の中、床下、机の脚の空洞など、容易に発見できない場所に置かれています。
物品は壊れていて本来の機能を果たさなかったり、手入れがされておらず機能が低下していたり、使いかけだったりします。
壊れている場合はなぜ、どのように壊れているかが、ダンジョンの手がかりになるかも知れません。焼け焦げた跡、強大な力でひしゃげた鉄板、引き裂かれた寝台などは、その場所にいたモンスターを暗に示しているでしょう。
物品が埃をかぶらず手入れされ、しまわれていれば、それはそこにその道具を使う人物がおり、大切に扱われていることを示しています。
高価な素材、特定の地方に生えている木材、食材、異文化に由来する模様・装飾・文字などは、持ち主の素性を示します。
また、特別硬い鋼鉄や石の扉があれば、その奥に大切なモノがしまわれているかも知れません。
- 鍵・錠
- 隠し扉
- テーブル・椅子・ベンチ
- 寝台・シーツ・毛布
- 靴・帽子
- 衣類(シャツ、ズボン、外套)
- 棚(食器、金品、書籍、薬品、衣類、雑貨)
- 箱・櫃・樽
- 鏡
- 暖炉
- 絨毯・タペストリ・絵画
- 階段・はしご
- 像・浮き彫り・壁画・柱
- 紙・封筒・巻物・書籍
- ペン、インク
- 紋章入りの物品
- ランプ・燭台・蝋燭
- 牢獄
- 倉庫(武器、食料、薬草、雑貨、衣類)
- 死体・棺
- 祭壇・魔方陣
- 壺・壜・鍋
- 皿、コップ、グラス、椀
- スプーン、フォーク、ナイフ
- 包丁・ナイフ・フライパン・しゃもじ
- 鞄・袋・布
- 食料(肉・魚・野菜・果物・卵・チーズ)
- ワイン・ビール・エール
- 牛乳、スープ、水
- 金槌・鋸・斧・ヤスリ・錐・鋏・杖
- 指輪・首飾り・腕輪・ペンダント
- イアリング・冠
- 琴、笛、太鼓、ラッパ
部屋全体、部屋の一部、通路を特別な地形に変えることで、戦術的な意味を持たせることができます。ダンジョンに住み着いているモンスターは、通常そうした地形について熟知しており、侵入者を撃退するために有効に利用するはずです。
一方で、プレイヤたちには、キャラクタに不利な地形を避けて戦うよう心がけてもらわないといけません。そうしたことに気を配るプレイヤが一人でもいれば、そのプレイヤが他のプレイヤにアドバイスしながら、徐々にパーティ全体が工夫して考えるようになってくれるかも知れませんが、そうしたプレイヤが一人もいなければ、マスタから「ここは不利だよ」と直接伝えて誘導したり、時には痛い目に合わせながらプレイヤたちに考えさせていく必要があるかも知れません。
第二部で解説した「戦術」を併せて参考にしながら、作ったダンジョンの部屋や通路を一つ選んで、以下の地形に変えてみてください。
ぬかるみ、でこぼこ、傾斜、瓦礫が落ちている、氷上といった不安定な足場の地形です。シナリオでは、
- 攻撃や防御にペナルティがつく
- 移動力が低下する
といった影響があります。
シナリオとしては、味方はこうした悪い足場の地形を避け、敵をこうした地形に追い込んで優位に戦いを進めるために出します。
蜘蛛などの壁や天井を這うモンスター、もともとこうした足場の悪い地形に住み着いているモンスターはそうしたペナルティを受けずに活動できるかも知れません。そのモンスターはパーティをこの地形に誘い込み有利な状態で戦おうとするでしょう。
泉や川など、ある程度の深さのある水場を舞台とします。
通常、キャラクタは水の中で呼吸が出来ず動きも鈍くなり、重装鎧を着ているキャラクタなど溺れかねないので、水場に近づくのを避けようとするでしょう。
シナリオとしては、
- 水場に入って動きの鈍ったところを射撃などで攻撃する
- 水場に住んでいるモンスターとの戦闘
- 水場に強いキャラクタの見せ場
- 身体に有害な水。稀に魔法的な力を秘めた水
といった位置づけの使い方があります。
さらに、濁った水場はキャラクタたちをいっそう遠ざけます。単に汚そうというだけの問題ではなく水深は見た目で測れませんし、水の中にどんなモンスターが潜んでいるかも分かりません。
倉庫となっている部屋や、建物のあちこちが崩れて瓦礫がうずたかく積まれた部屋、天然の洞窟など、あちこちに障害物がある地形です。
シナリオとしては、
- 移動力が低下する、まっすぐ走れない
- 遠隔攻撃にペナルティが付く
- 容易に隠れて奇襲できる、戦力の全貌を把握させない
といった影響があります。
自然の洞窟など、激しく曲がりくねった通路です。
シナリオでは、
- 全力疾走や突撃ができないなど、移動を制限する
- 射撃や遠隔の魔法などにとって著しく不利
- 奇襲を受けやすい
- 前線と後衛の間で何が起こっているかわからなくなる
といった地形として働きます。
洞窟の坂道や崖、階段、防壁などは高低差を生みます。単純に高いほうが有利なルールになっていることもありますし、高いところに向かって登っている間は両手が使えず盾のボーナスを得られず不利になる、という裁定もあるでしょう。
吊り橋や空中回廊、自然の橋などの地形です。足を踏み外して転落すると落下して負傷したり高さによっては命を失うことになります。
シナリオとしては、
- 橋は細い通路と見ることもできるので少数の側に有利な地形
- 押し出しのルールがある場合は、それを効果的に使う
- 飛行できるキャラクタにとっては非常に有利になる
- 吊り橋の場合には渡っている途中に橋を落とされる危険もある
といった使い方があります。
跳躍が必要な深い裂け目を設定します。簡単に渡れるキャラクタと渡るのに苦労するキャラクタに分かれるかも知れません。
シナリオとしては、
- パーティを分断するため
- 跳躍能力の高いキャラクタの見せ場
といった位置づけで使います。
天井が低くなっていて、屈まないと通れなかったり、長い武器を振り回せなかったりします。
シナリオとしては、
- こぶりな武器を持ったキャラクタの見せ場
- 飛行能力を封じる
- 背の低いキャラクタの見せ場
といった位置づけで使います。
TRPG において、情景の描写もとても大切な要素です。
しかし、本書ではシナリオに登場する場面をうまく描写する方法について解説することはできません。筆者が得意な分野ではありませんし、他の要素のように「以下から選んでください」というわけにもいかないからです。
ダンジョンの様子や現れたモンスターの凝った描写をするには、小説の描写で気に入ったものから拝借するのが簡単です。特に、海外の小説は過剰なほど詳細に場面が描写されている作品が多いので、シナリオの参考にするためにも、たまには読んでみてください。
どうにも描写が苦手な方は写真や漫画などから似た場面を拾ってきてプレイヤたちに見せ、「このような通路が続いているよ」と言って説明は省くこともできます。
描写からビジュアルを思い浮かべるのが苦手なプレイヤを相手にする場合や、描写するには複雑だったり、描写だけではプレイヤに理解させるのが難しいような想像を超えたスケールを表現する場合には、画で見せるほうがずっと伝わります。
ただし、シナリオにぴったりな画を探しだすのは難しいことが多いですし、癖のあるイラスト(ほのぼのな TRPG なのにイラストがホラー調だったり、シリアスな TRPG なのにコミカルなタッチのイラストだったり)だと変にイメージが固定化されてしまうことがありますので、使い所は考えましょう。
パーティがダンジョンに行くことを決断するまでのシナリオのパートを「導入部」と呼びます。
ダンジョンに宝探しに行くのであれば、パーティがダンジョンとその宝についての情報を手に入れて「行こうぜ」となるまでが導入部にあたります。誰かから依頼を受けてダンジョンに行くのであれば、依頼人にあって話を聞き、条件について交渉して引き受けるまでが導入部にあたります。
さてこの導入部ですが、ある程度シナリオの作成とマスタリングに慣れるまでは飛ばしてしまって構いません。セッションが始まったら「こうこうこういう経緯で君たちはダンジョンに行って○○することになった」とプレイヤたちに告げればよいのです。
ダンジョンシナリオでは、導入部は最もマスタリングが難しい部分といっても過言ではありません。矛盾が出やすいですし、プレイヤが上手く動かず依頼人に接触できない可能性もありますし、報酬の条件に難色を示してゴネることもあります。最終的にはダンジョンに向かってくれたとしても、プレイ時間がかかりすぎて肝心のラスボスの戦闘の途中で時間切れになってしまうこともあります。
ダンジョンシナリオで最も遊んでほしい部分はなんといってもダンジョン、そしてそのラスボスとの戦闘なのですから、無理して導入部をシナリオに組み込んでプレイ時間を割く必要はないのです。
もちろん、導入部で依頼者や他のプレイヤとやりとりするのも TRPG ならではの楽しみの一つなので、慣れてきたり余裕がある場合は導入部から始めることに挑戦してみてください。
同様に、依頼を受けてから情報を集めてダンジョンまで移動する部分についても、マスタリングの経験やセッションに取れる時間によっては省略してしまいましょう。
必要な情報は依頼者から全て提供されたことにしてもいいですし、街で情報収集した結果だけをプレイヤたちに伝えてしまっても構いません。
このパートをシナリオに組み込む場合は、拙書『TRPG シナリオ作成の道具箱』などを参考にしてください。
敵以外のキャラクタとダンジョンの中で遭遇することもあります。
例えば、モンスターに捕まって牢屋に入れられているキャラクタや、単に雇われて下腹たら気をしているキャラクタ、上手いこと言いくるめられ騙されて協力しているキャラクタなどです。
また、敵であっても金や交渉次第で買収できたり、パーティが優勢になると降服して味方してくれることもあります。
ダンジョンの途中でそうしたキャラクタを出すことで、単なる戦闘シナリオで終わらせず大きな変化をつけることができます。そこにはドラマが生まれますし、後々のシナリオの伏線として使うことも出来ます。
シナリオ中では、パーティに協力的な NPC に、ダンジョンに関する情報を提供するという役割を持たせることができます。
ダンジョン内にどんなモンスターが居るのか、何人くらいいるのか、部屋はいくつあるのか、こうした情報の一片でもパーティがそのキャラクタから引き出すことが出来れば、その後のダンジョン攻略がとても有利になります。
一方で、そうした NPC から手に入れた情報が常に正しいとは限りません。情報が古いかもしれませんし、勘違いしているかもしれませんし、あるいは、協力的であると見せかけて嘘の情報をパーティに流しているのかもしれません!
以上で、「ダンジョンシナリオ作成講座」、終了です。
いかがでしたでしょうか。
今までシナリオを作ったことがなかった方は、びっくりするくらい簡単にダンジョンシナリオを作れることが分かっていただけたのではないでしょうか。
と同時に、意外と難しいとも思ったかもしれません。
ダンジョンシナリオに関することはひと通り触れたつもり(ただし罠(トラップ)については、本当に一言触れただけ)ですが、「思ったより考えなきゃいけないことがたくさんあるんだな」と感じた方もいるかも知れません。
ダンジョンシナリオの体裁を整え、遊べるものを作るのは簡単です。ちゃんとしたシステムを選んでいれば、それで十分楽しめます。
しかし、それ以上の場所を目指そうとすると、「もっと面白くしてやろう」「システムの持つ力を最大限引き出してやろう」「プレイヤたちの記憶にいつまでも残るシナリオにしよう」などなどを目指そうとすると、ダンジョンシナリオの奥深さが姿を表します。
残念ながら本書では、そこまで書くことはできませんでした。さらなる向上を目指す方には、『ダンジョンマスターズガイド』『ダンジョンマスターズガイド II』(いずれも『ダンジョンズアンドドラゴンズ第 4 版』)をお勧めいたします。
それでは、また!